富山市内にて、大谷石の外壁笠石の補修・積み直し工事

富山市を中心にお仕事をさせていただいております、金山石材店の金山です。富山市内にて、大谷石の外壁の補修・積み直しをさせていただきましたので、ご紹介いたします!

富山市長江 大谷石外壁 補修・積み直し

 

今回のお客様は、先々代(3代目)からお世話になっている方です。当時施工させていただいた大谷石の外壁の笠石が落ちてしまったので、修理をしてほしいとご連絡をいただきました。

 

さっそく伺って様子を確認すると、おっしゃるように一番上の笠石が一部落ちてしまっていました。施工から50年以上経っていますが、通常であれば落ちることもあまりありません。この辺りは雪の多い地域なのですが、お客様のお話では、除雪機で雪を集める際、壁に寄せておくために雪を壁に当てて集めていたそうで、それが長年続いて、雪の圧や重みで笠石が落ちてしまったようです。

 

工事が始まりました。石と石の間は、モルタルで接着されていました。きれいに積み直すため、一旦モルタルを除去します。 きれいに取り除いたら、石の積み直しを進めていきます。

 

まずはあとの作業のため、養生テープを貼って準備をしました。

 

電動ドリルで壁石に穴を開けています。従来の施工方法であれば、大谷石の壁石と笠石の両方に穴を開けてセメントで固めて固定していたのですが、今回はより強度を上げるために、アンカーボルトで固定することにしました。

 

笠石の方には、印のようにピンを打ち込んで準備しました。石の表面にいくつか見える丸い穴が、以前の施工で固定に使った穴です。一番上の石は落ちて破損していましたが、先に接着剤で補修をしておきました。

 

さきほどドリルで開けた壁石の穴に笠石のピンを差し込んで固定します。圧着セメントという通常より粘りの強いセメントでしっかりと固定し、手前にある黒いスペンサーという道具で高さを調節しながら笠石を据えていきます。

 

1ミリ単位で水平になるよう調整しながら、モルタルを周りに置いて石を設置していきます。

 

最後のひとつを設置して、修復工事完了です! 既存の石を使って据え直したので、見た目には以前の雰囲気のまま、強度は以前より高くなっています。落下した笠石の破損が補修できる範囲だったのが幸いでした^^

 

お客様にも、「元の通りで全然わからないね」と喜んでいただけました。ただ、笠石よりも下の段については以前のままになっていますので、今後除雪の際には注意していただいた方が良いことをお客様にもお伝えしました。ご希望であれば一旦すべて解体して同じように据え直すこともできますが、今回はひとまずご予算やご希望に応じてご対応をしています。

今回工事をさせていただいたお客様のご自宅は、弊社からは少し離れた地域にもかかわらず、先々代の頃にいただいたご縁でまたお声かけいただきまして、ありがとうございました。先々代のことを覚えてくださっていて、お話しもさせていただき、うれしかったです。お墓のことだけでなく色々と幅広いお仕事をしていたんだなあと、当時の祖父の仕事ぶりにも思いをはせる機会になりましたし、自分も色々な経験を積んで、地域の方々のお力になれる石屋でありたいと改めて感じました。貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。