慰霊碑のクリーニング・基礎改修工事。富山県中新川郡立山町

富山市を中心にお仕事をさせていただいております、金山石材店の金山です。中新川郡立山町にて、慰霊碑の改修工事をさせていただきましたので、ご紹介いたします。

富山県中新川郡立山町渕上慰霊碑土台改修工事

以前から車の整備等でお世話になっていた方より、ご実家で守られている慰霊碑の改修をご依頼いただきました。老朽化が進んでお困りとのことでした。

中新川郡立山町にある慰霊碑です。戦没された方の慰霊碑だそうで、ご家族で守ってこられていました。いつ建てられたものかはっきりしませんが、かなり昔の戦没者の方のためのもので、老朽化もずいぶん進み、慰霊碑の石碑部分も真っ黒になっています。

石垣の土台のコンクリートにも、劣化が進んでいるところもありました。またお客様のお話では、石垣の部分も隙間ができていて、そこに蛇が巣を作ってしまったのだそうです。そのため、石垣はこの際なくして改修したいとご希望でした。現地で状況を確認して、まだ強度の十分なところは補修して使用し、全体の強度を保ちながら改修を進めることになりました。

工事開始です。周りの石垣の改修をするため、まずは慰霊碑を一旦取り外します。写真では小さく見えますが、かなり大きく重量のある慰霊碑でした。

石垣も上から少しずつ取り外していくと、中にはグリ石がしっかり詰められていました。おそらく地元常願寺の石を使っていると思われます。再利用できるグリ石は、砕石として利用することにしました。

取り外した慰霊碑は工場へ持ち帰りました。石碑部分と台座部分に分かれています。奥にあるのが台座部分です。中央に鉄芯が埋め込まれていました。かなり昔に作られたものではありますが、強度もきちんと考えて作られていることが分かります。

クリーニングして、スッキリときれいになりました。洗ってみて初めて、石碑部分と台座部分の石は違うものが使われていることがはっきりしました。どちらも地元の石と思われますが、色合いが違う２種類でした。

現地では、工事が進んでいます。ベースのコンクリートの上に、型枠を組んで新たなコンクリートの基礎を設置します。ベース部分は鉄筋で補強するなど強度を高め、全体的に頑丈な土台部分とします。

中はこのようになっています。石垣に使われていた石をグリ石がわりに再利用、ご先祖様が作られたものを無駄のないように活用して工事を行いました。

コンクリートを流し込んでいきます。まずは、グリ石の周りの部分から入れて周りを固めます。バイブレーターという機械を使って、かつ、型枠の周りは木づちで叩いて、コンクリート内部に空気が残らないようにしながら施工します。基礎が完成した時の強度を高めるためです。

コンクリートを流し込んでしばらく養生し、周りの部分がしっかりと固まったら、石碑の台座部分を設置します。

組んだ鉄筋の上に台座を設置しました。このあと、さらにコンクリートを流し込んで基礎を完成させますが、その上に台座を置いてモルタル等で設置するとなると、強度が少し心配でした。そのため、鉄筋コンクリートの中に台座の下半分を埋め込む形で設置して十分な強度を確保することにしました。

台座の上に石碑部分を設置します。もともとあった鉄芯を利用して、石碑部分の底面にある穴に差し込んで設置します。粘着性の高い圧着セメントでより強度を高めます。

その後、２段目のコンクリートを打設します。先ほどと同じように、中に空気が残らないように注意しながら流し込み、表面はきれいにならします。台座は、白いテープのところまでコンクリートで固めます。

コンクリートの基礎が完成したら、道路側の土を戻して拝石代わりの板石を設置し、改修工事完了です。

慰霊碑本体と台座はクリーニングをしたので、石の色合いの違いが分かるくらいきれいになりました。基礎部分は、台座の部分から外側に向かってわずかな傾斜を付けて、雨などが溜まらないようにしています。

一番下のコンクリート部分はひび割れを補修して強度も確保して再利用、表面は洗浄したのできれいになっています。

完成した様子をご覧になったお客様は、「きれいでいいがになったわ～！」ととても喜んでくださいました^^　クリーニングして初めて気付いた石の色にも、「こんな石だったんだ！」と驚きながらも喜んでおられて、「蛇も出てこんようになるし」と安心していただけたようです。

今回はかなり大掛かりな工事になりましたが、強度もしっかり確保した頑丈な基礎に生まれ変わりました。また、これまで道路よりもかなり高い位置にあったのですが、工事を機に道路から入りやすい高さに変更し、丈夫で安全なだけでなく、お掃除やお参りがしやすくなっています。これまで大切に守ってきた慰霊碑を、今後も安心して守っていっていただくことができるようになり、お手伝いができて本当に良かったと思います。このたびは貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。