100年近く経った鳥居の建て替え工事。頑丈な基礎と現代の技術を駆使した耐震施工、富山市西番の西番神社

富山市を中心にお仕事をさせていただいております、金山石材(かなやませきざい)の金山です。富山市西番の西番神社様にて、鳥居の工事をさせていただきましたので、その様子をご紹介いたします!

 

富山市西番 西番神社 鳥居建て替え工事 国産恵那石

 

弊社のすぐ近くにある、西番神社様で鳥居の建て替え工事をさせていただきました。弊社からは歩いて5分ほどのところにある神社で、よくお仕事をさせていただく富山市営の富山霊園(西番霊園)からも近く、もともとの鳥居も建てさせていただいた、弊社にとっても思い入れのある神社です。

 

施工前

こちらが施工前の鳥居です。弊社はおかげさまで創業140年になりますが、こちらの鳥居には、弊社の初代と2代目・3代目の名前も刻まれていました。鳥居の裏側には「昭和2年」とあり、建てられて100年近く経っていることになります。そのため老朽化してきており、傾きも少し見られました。長年の汚れがたまって、黒っぽくなっているのも分かります。

 

鳥居正面の額です。側面には3代目の名前もあります。以前に何か問題があったのか、上部はこのような形で鉄線で固定されていました。

建て替えにあたり、もともとの鳥居の石を使用して建てなおすという方法も考えられましたが、県道に面していてバスやトラックなどの大型車が通ることや、今後長く安心して参拝いただけるようにと考慮して、耐震強度を持たせる必要があると考えました。そのためこの機会に、内部に鉄筋を入れた新しい石で丈夫な構造の鳥居に建て替えることになりました。鳥居専門の石材会社さんと協力しての工事になります。

 

解体

工事が始まりました! まずは足場を組んで、鳥居の解体に入ります。安全に解体を進めるための準備です。

 

紐を取り付けて、ラフタークレーンという大きなクレーンで吊り上げて解体します。しっかり固定して吊り上げます。

 

鳥居の柱の根元、地輪の部分です。地面との設置面にセリ矢を打ち込んで分離させます。

 

地面と切り離し終えたら、柱を吊り上げて運搬します。こうして順にひとつずつ解体・搬出を進めていき、解体工事は完了しました。

 

加工

今回協力して鳥居工事を行うことになった石材会社さんの工場です。新しい鳥居の加工をしています。こちらは柱の加工をしているところです。長い柱を1本の鉄筋が貫通していて、しっかりした耐震施工の鳥居になります。

 

柱を横に貫いている「貫(ぬき)」という部位です。黒い金具は、柱と貫をしっかり固定するための金具です。

 

一番上の「笠」の加工をしています。ひとつひとつ手加工で加工して、このあときれいに磨いていきます。

 

これまでの鳥居に使用されていた部材も再利用しました。3代目の名前が彫刻されていた額です。きれいに洗浄して新しい鳥居に取り付けることになります。

 

基礎工事

鳥居の据え付け工事の前に、基礎工事を行います。鳥居を見ただけでは分からないですが、ここまで深くしっかりとした基礎を築きます。

 

型枠を組んで、内部の鉄筋を組んだところにコンクリートを流し込む準備をしています。

 

コンクリートを流し込んで養生を終えました。重量のある鳥居をしっかりと支える基礎が完成しました。

 

据え付け

いよいよ新しい鳥居の据え付け工事が始まります! 完成した基礎の上に、クレーンで吊り上げて柱を据え付けるところです。

 

左の金具は柱を吊り上げて立てるために取り付けて、据え付けが完了すると取り外します。右は柱の根元です。柱の内部の鉄筋を下の基礎にあけた穴に差し込んで固定し、さらに鉄板とボルトでしっかりと固定します。

 

柱を固定したら、貫く横材「貫」を据え付けます。左は、貫の端を固定する部分です。たっぷりボンドも使用し、貫に取り付けた金具で固定します。ゴムハンマーでしっかりはめ込みます。

 

反対側からもしっかり閉めて、両端も同じように固定します。完成すると下から見ることはできませんが、こうしたところにも現代の技術が駆使されています。

 

一番上の笠を据え付けていきます。笠はこうして2つに分けて作られています。しっかり固定してクレーンで吊り上げて設置していきます。

 

笠を柱に設置するところです。白いのは柱を貫通している1本の鉄筋です。さらに専用のボンドを使用してがっちり固定します。

 

最後に額を取り付けます。鉄線で笠にぐるぐるに巻かれて固定されていましたが、下からは見えないように笠に固定します。これで鳥居の据え付けは完了です。

 

ベースの基礎の上に鳥居の据え付けが完了しましたが、今のところ地面からは50センチほど下がっている状態です。ここへさらに、地面に見える高さの基礎を打って、柱を埋め込むような形にしていきます。

 

基礎が完成しました。この基礎の上に地輪を設置します。手前には、鳥居の横に旗を立てるためのポールの基礎を施工しました。

 

完成

完成しました!!

柱の根元に地輪を設置し、注連縄を取り付けて完成しました。

 

白く美しい鳥居に仕上がり、周りも明るくなったようです! 以前の鳥居にも長年の味わいがありましたが、新しいだけでなくとても安全になりました。

道路に面した場所での工事でしたので、工事中には様子を目にした方々にも「立派になったね」などと声をかけていただきました。基礎工事の大掛かりな様子も少し驚かれたのではないでしょうか^^ 目に見えないところもかなりしっかりした工事を行っていますので、今後も地域の皆様に安心して参拝いただきたいです。

今回は、弊社ともゆかりの深い神社の鳥居の建て替え工事でした。鳥居の建て替えは、そう頻繁に行うものではありません。こうして貴重な機会をいただいたことはとてもありがたいことです。協力していただいた石材会社さんや、日頃からお世話になっている地域の皆様に、改めて感謝申し上げます。新しくなった鳥居には、これからも末永く地域を見守ってもらいたいです。